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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


003.深浦康市との指し込み二番勝負!

将棋世界 2009年 03月号 [雑誌]」の「将棋世界特別企画 トップ棋士vs関西新鋭 指し込み2番勝負!! 第二回深浦康市王位vs糸谷哲郎竜王」より

(前略) 大物新鋭

糸谷哲郎竜王。本誌の読者ならその名前は既にご存じだろう。関西の、というより、現棋界を代表する大物新人として呼び声も高い。糸谷にはすでに数々の伝説がある。

その1。小学生一年生のときに地元の広島で有名なアマ強豪に指導を受けたが、「六枚落ちで」という席主に、「では一番手直りで」と注文をつける。

その2。奨励会6級時代、香落ちの下手で先に指して反則負け。

その3。奨励会2級当時、佐藤天彦当時1級との対局で取った相手の駒を何故か相手の駒台の上に乗せて反則負け。

その4。平成19年の竜王戦。戸辺誠四段との対戦で、△7八馬の王手に対して、▲同玉と取りながら、その玉を8七に置いて反則負け。

関西奨励会幹事の畠山鎮竜王によると「昔から頭の回転が速すぎて、読みの先にある手を指してしまう」のだとか。

これだけのポカの歴史を重ねながら、通算勝率は6割7分以上。平成18年の新人王戦では初優勝を飾っている。

さらにいうと、彼は大阪大学文学部人文学科で哲学思想文化学を学ぶ現役国立大学生でもある。「哲学の話を聞くと難しい言葉があふれるように出てくる。それでも嫌味がないのは根が明るいから。将棋のスケールも大きい。すべてにおいて大物ですよ」と、これも畠山竜王の話だ。」

(香落ち戦に勝利して)「良かった」とその糸谷。「角落ちだけはやりたくありませんでした。勝つとは思うけど、勝って当たり前の勝負はやりたくないですよ」と正直にいう。(中略)余裕が出てきた糸谷は「こうなったら三番勝負でやりたいですね」とも言った。香落ちで勝ち、平手でも勝ったら、今度は自分が香を落として指すということだ。さすがに大物!

【当サイト管理人による補足】
この勝負は、村田(顕)四段、糸谷五段、豊島四段がそれぞれ、佐藤康光、深浦康市、渡辺明、という三棋士と対戦するものだった。糸谷哲郎プロ以外の二人は香落ちでは勝つものの、平手では負けるというある意味一番無難な終わり方だった。しかし、糸谷哲郎プロはしれっと、しかも敗勢の平手番を得意のうっちゃりでひっくり返しての二連勝。

相手があの、深浦康市プロである。対局後の深浦康市プロに遭遇?した鈴木大介プロの証言記述がなんとも恐ろしく、勝負の世界の厳しさを思い知った。2009年時点であっても、平手でそれぞれ一発入れてもおかしくない実力の持ち主達だったわけだが、如何にもらしさ爆発な将棋を香車落ち、平手の両方で見せてくれたのは流石、糸谷哲郎プロというところだろう。

尚、この香車落ちの上手を持ったのが居飛車党だったのが面白みに欠ける、振り飛車党であれば相当に好勝負だろうということで次の指し込み2番勝負では久保利明・鈴木大介という二人の振り飛車の達人が登場し、久保利明プロが香落ちで金井恒太プロに完勝、鈴木大介プロに至っては、西川ジュニアに対して角落ちまで勝利するという恐ろしい勝負師ぶりを発揮している。

こういう結果を見ると、プロ相手に大駒落ちで教わろうという気が全くなくなるところだ。

話を元に戻すと。昔から早指し、しかも直感的に手が動く、という将棋だったことを示す、糸谷哲郎プロの数々のエピソード。特に駒落ちの下手で先に指して反則負け、というのはなかなか出来ないところだ。もしかすると空打ち等の指したフリに反応したのかもしれない。機会があれば聞いてみたいエピソードではあるが、戸辺誠プロとの対戦で反則負けした後の記述が師匠の森信雄プロのブログに記されている。

http://morinobu27.blog.so-net.ne.jp/2007-04-18
昼前に糸谷四段から電話があった。暗い声で元気なく「昨日、対局の結果を電話しなくてすみません。反則負けをやってしまって・・」少し事情を聞いたが、やってしまったことはしょうがない。「尾を引かないように、気分を変えてがんばりや」と励ます。繊細な糸谷君にはショックだろうが、何があってもひたむきに進んでほしい。

これを読んでも分かるとおり、そして師匠が理解しているとおり、糸谷哲郎プロはとても素直な繊細な若者なのだった。反則負けはセンセーショナルな扱いをされやすい出来事ではあるが、やっている本人はワザとではないし、当然ショックも受ける。長嶋茂雄的なエピソードではあるが、動物的勘だけで事が全てなされうるスポーツとは異なり、本人は大真面目であり、無我夢中だからこそ、我を忘れるぐらいに集中しているからこそ、起きる出来事だと思えば、その真面目さが逆に浮き彫りになるようにも思う

次回更新に続く

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