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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


007.新人王獲得後の週刊将棋の取材にて(その3)

新人王獲得後の週刊将棋(06年10月25日号)の取材にて(その3)

今回は、新人王獲得後の週刊将棋によるインタビューより抜粋。構成として三段落ぐらいに分かれているので、こちらでの取り上げ方もそのようにいきます。その3は「高校生時代の糸谷哲郎の自己分析」について。

憧れの谷川将棋と対極の糸谷将棋

――糸谷将棋とはどんな将棋ですか。
「序盤がひどく粗いですね。中終盤で不利な時の指し方は上達してきて、自分でもまあまあだと思っていますが、優勢な将棋を決めきる点がまだまだ甘い。ちょっと悪いぐらいが一番力が出るのかもしれません」

――どんな将棋を目指していますか。
「見ていて面白くて、かつ実績を残せる将棋が目標です」

――それはイコール理想の将棋でもありますか。
「いや、まだまだ遠くに何かあるかなという気はしていますけど。それが何かというのはまだ分かりませんが」

――プロ棋士としてどんなことを心掛けて将棋を指していますか。
「人にみられることをある程度意識して指しています。棋風にはこだわっています。面白い将棋を指しているやつがいるなぐらいに思っていただければ嬉しいです」

――普段、どんな勉強をしていますか。
「ネット将棋だったんですが、最近はあまりできていませんね(苦笑)。パソコンで棋譜を調べたり、少しはしていますが、最近は対局が勉強の話みたいな感じになってしまって。勉強時間ですか? それはちょっとここでは言えないですね(苦笑)」

――プロになって悔しかったことは。
「やっぱり順位戦(堀口弘治竜王戦)で王手馬を食らって負けたのが悔しかった。たまに大ポカを出してしまうので直さなくてはいけないと思っているんですが。無意識の部分が他の人よりも大きいんだと思うんですけど、これからは気を付けないと」

――うれしかったことはやはり今回の優勝ですか。
「そうですね。新人王を取ったことはうれしいです。ひとつ業績が残りますから。」

――これまでに反省点はありますか。
「対局中に席を立ちすぎること。目方が重いので長く座っているのがきつくて。長時間の対局にも早く慣れなくては」

――ライバルはいますか。
「奨励会の稲葉三段と牧野三段が、同じ年で昇段ペースも近かったので意識しています。最後の三段リーグで直接対決で負けてしまっているのが悔しい」

――指してみたい棋士は。
「やっぱり憧れの谷川先生です。終盤の寄せがただ勝つだけではなくて最速でとても美しいと感じます。僕の将棋は残念ながら谷川将棋とは対極をいく感じです(苦笑)」

――最後に今後の抱負をお願いします。
「棋戦優勝をしたからには次の目標はタイトルと言いたいところですね」

(インタビュー取材・内田晶)


管理人のひとこと

鮮烈なデビュー戦の棋譜はこちらでご確認ください。→「第65期順位戦C級2組1回戦 ▲堀口 弘治竜王vs△糸谷 哲郎四段(有料サイト名人戦速報)」。王手馬が炸裂するのは71手目。序盤か中盤の始めぐらいで早々に優勢(というか勝勢)になってから徐々におかしくしてまだ優勢だったときに繰り出された衝撃の一手が70手目。これほどの王手馬はアマ初段クラスでも登場することは珍しいぐらいのポカ。大物とはいえ、やはり緊張があったということか。

すぐに投了してもおかしくないが、棋譜中継があるので投げるのは観戦されている将棋ファンの方々に申し訳ないと考え、指し継いだというコメントをどこかで観た記憶がある。どこまでも心の優しい男ではないか。

上記に記した以下の言葉。

   ――それはイコール理想の将棋でもありますか。
   「いや、まだまだ遠くに何かあるかなという気はしていますけど。それが何かというのはまだ
    分かりませんが」

まさに現在模索中にあるように思う最近の糸谷将棋。糸谷らしさを残しつつも更にもう一段の高みに登りつつあることを個人的には感じているが皆さんはどうだろうか?(NHK杯は負けちゃったし、順位戦もまだ白星がないが、それでも進化を感じさせるものがある…というのはファンの贔屓目かな?)

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