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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


糸谷哲郎プロの略歴

生年月日

昭和63年10月5日生まれ

出身地

広島県広島市西区出身

学歴

2007年3月 広島学院中学校・高等学校卒業

2007年4月 大阪大学文学部入学。現役将棋棋士の国立大学入学は糸谷哲郎プロがはじめてとのこと(参照:糸谷哲郎四段が大阪大学に合格)。尚、兄弟子の片上大輔プロは奨励会在籍中に広島修道高等学校から東大に合格している(参考:東大法学部に在学中に棋士となった片上大輔六段)。

将棋を覚えたきっかけ

5歳の時、テレビを観て興味を持つ。その後、本で勉強し広島将棋センターに通い始めた、とのこと。広島将棋センターといえば、故村山聖プロ、山崎隆之プロ、片上大輔プロを見出し育てた名伯楽、故本多冨治(2003年にガンにより逝去)が席主を務めていた有名な道場だ。糸谷哲郎プロもまた、本多冨治氏の晩年に見出された天才なのだろう(参考:故本多冨治棋道師範)。

兄弟子にあたる片上大輔プロ曰く、「小さいときは負けてよく泣いていた、今はトッププロが警戒するくらい強くなった」とのこと(参考:糸谷哲郎竜王vs鈴木大介八段   NHK杯  3回戦)。

山崎隆之プロは糸谷哲郎と初めて出会った十数年前のことを強烈に覚えているそうだ。「僕が奨励会の三段で、糸谷君は6歳か7歳」。広島将棋センターで平手で指導対局中、「この手は米長(邦雄永世棋聖)流ですね」と解説され、「知らなかったので、ビックリした」(参考:米長流ですね)。

小学生名人戦での戦績

糸谷哲郎プロは、平成10年に奨励会入りする前に第21回~23回の計3回小学生名人戦に参加しているようだ(参照:■プロへの登竜門!小学生名人戦の歴史)。その他にも参照先のページを見ると分かるとおり、小学生名人戦のベスト64にはプロ棋士・奨励会会員の名前が連なっている。各世代のトップクラスがシノギを削る奨励会であるために、糸谷哲郎少年は入会後、二年間の長きに渡って6級で苦労することになるのだった。

回数・参加人数 優勝者 糸谷哲郎の成績
第21回(平成8年)参加者:460名 中平 寧(小5) ベスト8
第22回(平成9年)参加者:409名 和田澄人(小5) ベスト8
第23回(平成10年)参加者:1226名 高崎一生(小5) ベスト8


奨励会入会以降の棋歴

奨励会入り

平成10年 森信雄六段門下で6級で奨励会入り

奨励会三段

平成16年 第36回三段リーグから参加

四段昇段

平成18年 第38回三段リーグにて14勝4敗で優勝、2006年4月1日付けで四段昇段。棋士番号は260番。前後で四段昇段している棋士としては、第37回(平成17年前期)の高崎一生、遠山雄亮。第39期(平成18年前期)の戸辺誠、佐藤天彦。第40期(平成18年後期)の豊島将之、金井恒太、伊藤真吾。第41期(平成19年前期)の村田顕弘、及川拓馬。第42期(平成19年後期)の稲葉陽、田中悠一がおり、そのうち、「糸谷哲郎・豊島将之・稲葉陽・村田顕弘」を関西若手四天王(関西若手四強)と呼ぶ。(らしい)。

関西若手四天王のそれぞれの特徴については、将棋世界2009年07月号が詳しい。


プロ入り後の棋歴

第37回新人王戦 優勝

横山泰明四段との決勝、初戦が糸谷流対振り飛車右玉、二戦目が糸谷プロの挑発から相居飛車となり2-0で糸谷哲郎プロの勝利となった。(しかしどちらの将棋も途中、横山泰明プロ側にもチャンスのあるものだった。やや形勢を損ねてからがまた糸谷将棋の魅力なのだが。詳細は「将棋世界2006年12月号」を参照のこと)

第34回将棋大賞(2006年度)連勝賞・新人賞 受賞

プロ入り後最初の4戦で二勝二敗。デビュー戦、実力者橋本崇載プロを相手に、今見るととても糸谷哲郎プロらしい勝ち方をして天才ハッシーに「怪物」と言わしめた。しかし続く3つの対局、山本伸一郎アマ戦・児玉孝一プロ戦・堀口弘治プロ戦はどれもかなり苦しい展開で、対山本アマ戦ではうっちゃり勝ちをおさめたものの、2つの負けのうち1つはカニカニ銀で有名な児玉プロにプロの洗礼を受けた。もう一つは順位戦参加初戦で、大差の必勝状態からの純粋王手馬取りを食らうというポカで負け、というものだった。私は個人的には、長嶋茂雄のデビュー戦、国鉄スワローズのエース金田正一投手から4打席4三振にねじ伏せられたエピソードを思い出した。

その後怒涛の14連勝でデビュー年度である2006年の連勝賞を獲得、合わせて三段リーグ在籍中から勝ち抜いていた第37期新人王戦で新人王獲得という成績が評価され、新人賞も受賞した。その率直過ぎる言動と実は素直で優しい人柄が見え隠れするところ、用いる独特な戦法と将棋感性、思い切りの良い早指しと切れ味の鋭さ、そして驚きのウッカリと怪しげな粘り等々、色々な意味で注目を集めたデビューとなった。

第21期竜王戦5組 優勝

第21期竜王戦5組決勝において、中村亮介プロを破って優勝、連続昇級の昇段規定により五段昇段を決めている。尚、この21期の竜王戦決勝トーナメントにおいて羽生名人との初手合いが組まれ、一手損角換わりの先手番から時間をたっぷり2時間残しての負けとなった。(第21期竜王戦決勝トーナメント▲糸谷vs△羽生)。十代で羽生名人と戦える土俵に上がれたのは渡辺明竜王以来だったが、渡辺明竜王同様に初手合いは勝負にならなかった。

第59回(2009年度)NHK杯準優勝

永世ホルダーである谷川浩司・森内俊之・渡辺明をなで斬りにしての決勝戦での羽生善治名人へのリベンジ戦となった第59回(2009年度)NHK杯だったが、惜しくも敗れた。尚、幻の逆転手として「将棋世界2010年05月号に感想戦の詳細が記されている」。初手合いとは異なり、終盤まで競り合うことが出来たことが大いなる自信となったのではないか。この後、三回目の対戦となる将棋では糸谷哲郎プロが確りと勝ち切っている。詳細は将棋世界2011年01月号のリレー自戦記にて。C2在籍者で羽生善治プロに勝ったのは木村一基プロ以来のことであり、約12年振りの出来事だった(それまで羽生名人は26連勝していたらしい)。

第36期棋王戦挑決トーナメントで敗退

羽生名人を破って勝ち進んだトーナメントで、対渡辺戦に一手損と見せかけての相掛かり後手番から負け。敗者同士の対戦となった窪田戦では両者らしい力戦調になるも終始押される形で負け、敗退となった。初タイトル挑戦か?と思われたが、ならず。そしてその裏では自他ともに認めるライバルであろう豊島将之プロが王将戦にて初タイトル挑戦を決めたのだった。週刊将棋におけるライバル豊島将之へのコメントを求められた糸谷哲郎プロは、短いながらも悔しさをにじませた発言を残しているらしい(残念ながら未読)。

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