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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


糸谷哲郎、第27期竜王戦で遂にタイトル初獲得、同時に八段昇段!

森内俊之竜王に挑戦していた第27期竜王戦において、糸谷哲郎プロは第五局に勝利し、4勝1敗で竜王位を奪取した。

将棋の内容としては、特に第四局・第五局が驚くほどの大逆転劇だった。

開幕前の将棋世界誌における中村太地と森下卓の戦前予想において、二人の語っていたことがかなり面白かったし現実となったような気がする。

プロが評するプロ、というのは観る将棋ファンにとっては一番面白い部類に入ると思うので今後も言い難いところも含めて是非お願いしたいと思う。

糸谷哲郎の良さとはなにか?といえばその純粋さだろう。純朴さと言ってもいい。タイトル戦で戦うものは、ホルダーとの戦いというのもあるが、その場の雰囲気や重さ、ようはプレッシャーとの戦いでもある。

大山康晴永世名人はそれをうまくコントロールすることで若手を跳ね返していた。そういう盤外戦術を使わなくても威厳やオーラという形で挑戦者を圧倒するのがタイトルホルダーたちだ。

その中では比較的、若手がいい意味で戦いやすいのは森内俊之プロのような気がする。また今回は棋風的相性というか、時間の使い方の相性が悪すぎたというのは言える。悪くなってからの時間の使い方が、羽生世代とは異なる形で実戦的である、というのが大きかった。

第四局、第五局ともに大逆転となったことの大きな要因はあの糸谷哲郎プロの時間を使わない指し回しにあった。相手が時間を使うというのであれば余計に効果がある。本人もその時間の使い方はハッキリと明言しており、悪くなったら勝負のためにうまく逆転させるような指し回しをとっているようだ。麻雀でも場の流れを変えるためにポンをする亜空間殺法というのがあったが、そういう人間同士の戦いらしい空気感というか臨場感というか、その場にいるものでなければわからないものをコントロールできるのは一つの才能だろう

糸谷哲郎は純粋・純朴故に、変な欲や恐れをもたない。もちろん緊張することもあるし、空回りすることもあるが、その理由が欲に結びついたものではないので、強いのだ。島朗プロが羽生世代を純粋なるもの、と称したが、糸谷哲郎もまた純粋なるものだと思う。

今回の奪取が一過性のものではないのはわかっているが、それでもこのまま今までのペースを崩さずに研究しつつ、タイトルホルダーとしての責務を果たすことで人間としての器を広げて、更にそれが将棋に生きていく…という、羽生善治名人をはじめとする先人たちを手本としてこれからも頑張って欲しい。

糸谷哲郎竜王、このたびは本当におめでとうございます!


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