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糸谷哲郎八段、遂にA級に!第76期B級1組順位戦を振り返る。(その1)

残り2つ残して8戦全勝で早くも昇級を決めました。二番手が3敗ということですからもはや圧倒的な、文句のない昇級ですね。流石元タイトルホルダーです。二十代でのA級を決めたというのがとても大きなことで、早くも糸谷vs豊島、天彦でのタイトル戦、名人戦を期待してしまいます。

ということで、今期のB1を簡単に振り返ってみます。その1は2~5回戦について。

第76期B級1組2回戦▲山崎隆之vs△糸谷哲郎

一回戦が抜け番で順位戦初戦は7月、兄弟子の山崎さんとでした。

後手番で横歩取り模様から横歩取らずの力戦に誘導。兄弟子が激しい順を選択し、薄い玉で凌ぐ展開に。一旦収まってみると先手の龍が大きいのか後手の歩得が大きいのか?という勝負に。先手のミスから後手が指しやすくなるものの、この二人らしい混戦となり150手で糸谷が勝利。

第76期B級1組3回戦▲糸谷哲郎vs△橋本崇載

A級経験もあるハッシーと。角換わり腰掛銀の最新版である48金型vs62金型に。両者ともに受けに特徴のある棋士で、その特徴そのままの曲線的な展開となった。ただ33歩の叩きで22に金を逃げるなど、若干後手が粘れない形を強要された印象。先手玉も薄くはなるものの、角打ちに強く玉上がりで99の香車をどうぞとした手が良く、そこからは危なげなく糸谷が押し切ったように見えた。

第76期B級1組4回戦▲糸谷哲郎vs△阿久津主税

2先手番のときは相手の横歩取りを受けて立つ糸谷さん。本局は勇気流で対抗します。龍と馬を作った時点で先手が指しやすいように見える。そこから一気に攻めたてて短手数での圧勝。今期の阿久津さんは他棋戦でも好調なのにそういう相手をあっさりと吹っ飛ばす、これが糸谷さんの魅力ですね(たまに格下にもすっぽ抜けるんだけどそれはご愛嬌w)

第76期B級1組5回戦▲菅井竜也王位vs△糸谷哲郎

この時点で既にタイトルホルダーだった菅井王位との対戦。ただ、対振り飛車で後手番というのは対居飛車党棋士のときに先手番を引けているということにもなるので良いことかもしれない。…と思ったら菅井王位の相掛かりに。相掛かりは力戦調になりやすく糸谷さんとしては歓迎するところだろう。後手が54歩とあまりない手を指すとそれに反応する形で菅井王位が激しい展開を選択。糸谷さんとしては後手番ならばこのぐらいは仕方ない…という許容範囲が広いというか誘いの罠というか、こういう激しくなる展開を挑発する手順が多いように思う。

確かにジリジリとやられるよりは激しい展開のほうがアヤが(多く)ある気もする。この将棋は早指し同士の対局ということもあるし、後手が居玉のまま自陣に敵の駒が一杯あるということで珍しく糸谷さんのほうが時間を沢山使っていた。こういう将棋で勝ち切る力強さが糸谷将棋の魅力ですね。



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