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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


糸谷哲郎、第27期竜王戦でタイトル初挑戦!

糸谷哲郎が大学院を休学したと聞いたのは何時だっただろうか。将棋に専念して順位戦など長い持ち時間の棋戦にしっかり対応できるように、戦い方を改造したい…というようなことを語っていたのを何かで読んだ。それから少しして順位戦で昇級を決めた。確かに、明らかに棋風の変化があった。早見え早指しなのはそのままだが、しっかりと腰を据えるところは熟考するようになった。また、悪くなってから粘るようなところがあったが、悪くなる前にじっくり行くようになった。

改造しますと宣言してそれがそのまま上手くいくというのは本当に才能のある人間だけにできることのように思うが、糸谷哲郎プロはそのネット将棋で鍛えた早指しスタイルから、いわば通常のプロのように、本割である順位戦など長時間の将棋で実力を発揮できるスタイルに進化し、それにより元々高かった勝率を更に高めてきた。

今期はここまで好調を維持し、竜王戦では挑戦者決定戦まで上り詰めた。そこに至るまでの将棋でもかなり好調さを感じさせるものが多く、後手番でこれらの実力者にここまでの圧勝をするものか…と私が驚いた対局もあった。

対する相手は羽生善治二冠。こちらも今期恐ろしいほどの絶好調で、竜王戦の挑戦者になって永世七冠というだけではなく、七冠王再び?と言われるほどの勝ちっぷりだった。普通に見て、羽生さんが挑戦権を得るものと考えるのも不思議ではない。挑戦者決定戦の第三局までの二人の対戦成績は6-3という、ダブルスコアで羽生さんが勝ち越していた。しかも羽生さんの6勝のうち、3つは後手番での勝利だった。

これだけ好調な羽生さん相手に、後手番で勝つのは難しいとしても、少なくとも先手番で勝ち切る必要がある。ただし肉体改造した糸谷哲郎プロであれば、先手番の時にそう簡単には負けないだろう、という予想を私はしていた。初戦の先手番を勝ち、二戦目の一手損で羽生さんに敗れ、次の最終局、そこで先手番になるかどうかはかなり大きな分かれ目になるような気がしていた。

そして2014年9月8日に行われた第三局。先手は糸谷哲郎だった。後手番となった羽生善治二冠は、かなり激しい展開を選択し、華々しい戦いが繰り広げられたが、昼食休憩後に糸谷哲郎が指した51手目の▲1六歩に、新生糸谷哲郎が表れていたように思う。以前の糸谷であれば、昼食休憩前に指していたかもしれないし、他の手を指したかもしれない。しかし新生糸谷哲郎は、昼食休憩後にじっと相手の角にプレッシャーをかける手を指した。その手の善悪は、対局が終わったばかりの今時点では私の棋力では分からないが、この手があったからこそ、羽生善治二冠が銀のただ捨てという強手を繰り出すこととなったように思う。

あの銀捨ての局面は厳密に分析してどうなのかはわからないが、後手番で無理のある手という見方もできるので、正しく指せば先手が良くなる変化があるはずだ、と思って私は局面を眺めていた。途中からはあっけなく後手玉が寄ったように見えたが、激しい展開で、先に銀損になる手順だったため、修正が効かなかったのかもしれない。ただ、途中のプロの評価では二枚替えで先手が駒得でも後手の飛車の威力が強いから後手が有利ではないか?という話もあったので、本当のところはまだわからない。

ひとまずは、一人の糸谷哲郎ファンとして、その成長を歓びたいと思う。森内竜王はそれほど簡単な相手ではないし、対戦成績も2-1と負け越しているはずだが、最近対戦がないので、新生糸谷哲郎がどこまで森内俊之竜王に通用するのか、どういう戦いを見せてくれるのかとても楽しみだ。どういう結果になっても、経験値は高まると思うので、まずはフルセット目指してしっかり先手番をキープできるように、そして後手番は奔放な糸谷将棋を楽しませて欲しいと思う。


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