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糸谷哲学

直感は経験の集積から成る分析


これぞ糸谷流!阪田流向かい飛車で広瀬を撃破

2018年10月9日の将棋ですが、広瀬vs糸谷。

広瀬が10連勝中でレーティングでもトップというなか、糸谷が例の阪田流向かい飛車。この作戦まじですか?と思ったけど、確かに後手番でトップやタイトル挑戦者などをふっとばしており、投入時の通算成績も5-2とか5-1とかすごい。谷間のエースとしては抜群に良いし、完全に解明されるまでは今後も度々登板することでしょう。

居飛車党同士の将棋の場合、やはり後手番で苦労するわけで後手番が如何に先手の用意にはまらないようにするか?が一つ大きい。特にトッププロ同士だとその傾向が強く、その場合に先手の準備を全部無駄に出来る対抗形の作戦を持っていると対局前の精神的な揺さぶりとしては少なくとも有効。

糸谷さんは力戦の雄というか力将棋、初見のドロドロした展開で元気が出るタイプだし、アマでもびっくりするぐらいの楽観主義というか悲観しないタイプ。この局面から未だ指すの?と思ったことは一度や二度ではないけれども、それでもそういう感性があるから、他の人だと危ういと思うような展開を読み筋としてキチンと勝ち切る。藤井聡太以外では個性を全面に出しつつ、しかもその個性がアマにもわかりやすくて、とてもおもしろい将棋だと思う。

本局は終盤まで先手が良さそうな雰囲気があったけど、対局者はそこまで楽観しているわけでもなく、実際難しかった模様。先崎さんが粘りに行った手と評した△74金が高飛車を咎めて先手が攻めざるを得なくして局面をはっきりさせた好手だった。こういう手で勝ち、というのが如何にも糸谷さんらしい。そこから先手が攻めてきた▲63桂成には、△61銀と逃げておいて勝ち!というのは本当にすごい。これが読みの本線である棋士が一体、世界に何人いるのか。

投了図は2筋に金が2枚残っており、なかなか観ないものとなった。若手の混戦模様はまだまだ続くとおもうので(少なくともあと1・2年は)、糸谷さんが次のタイトルに挑戦する可能性は相当あると思うし、挑戦となれば胆力はあるので奪取まで当然大いにあるとおもうのでこの調子で頑張ってほしい。まずは王将への挑戦を期待します!



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